金子光晴いわく・・・「芸術家と呼ばれる人間は、リアルと常識の間のずれや矛盾に特に敏感な人間のことである。 芸術家は、それに、自分なりの表現を与えようとする意欲をもつことのできた人間のことだ。」 ひょんなきっかけから、この詩人に興味を惹かれ随筆や紀行文を中心に目を通してきて、最近ぶつかったのが上記の文章である。「リアルの問題」と銘打たれた随筆の抜粋なのだけれど、なんだか妙に心に沁み入った。 「どうして芸術などと言うものに心惹かれるようになったかと言うと、それを一口で答えれば逃げ場所を求めると言う事に尽きる・・・人間は、自分の立っている地点から遠ざかるにしたがって、まったくぼやけてしまって、感覚の届かないところで起こった事柄には、関与出来ない・・・現実という対象は、いつまでもあいまいである。」 自伝を読んでみても感じることだけれど(やや偽悪家ぶってはいるが・・・) きわめて人間臭い人だったようだ。